尊敬すべき研究姿勢

尊敬すべき研究姿勢

●今日、元昭和女子大学副学長の岡村浩先生から、論文2点を拝受した。

【1】「アジア諸国への製革技術の移転経過」
農学博士・前日本皮革技術協会会長 岡村 浩

1、 はじめに   【省略】
2、 台湾、韓国への技術移転  【省略】
3、 中国への技術移転   【省略】
4、 まとめ   【省略】

(『皮革新聞』 平成28年7月25日 新年特集号)

【2】「Calf Skin によるクロム甲革(グレージング仕上げ)の
製造」

岡 村   浩 〈昭和女子大学名誉教授、農学博士、技術士〉
諸 橋 悠紀冶 〈株式会社山崎化学研究所 元技術部勤務〉

1、 はじめに

クロム鞣しによる革製品の大部分は、成牛皮を使用し、小牛皮を原料皮にする工場は非常に少ない。小牛皮は成牛皮に比較して工場における技術的な欠陥が目立ちやすく、取り扱いや管理が難しい。しかし、小牛皮より製造された革製品(靴、八ンドバッグ等)は婦人用持ち物に適しており、高級品とされている。
著者らが勤務していた山崎化学研究所(社長:山崎正一)の草加工場(技術系社員5名、作業員80余名)は、小牛皮よりスエード革の製造を専門としていた。しかし、スエード革の流行はすでに終わり、銀面を使用するクロム甲革(特に5~7IbS.)の製造への転換が急務であった。TQCの常法により、(1)工場管理の目的で可能な限りのデーターを集める。(2)各工程の特性要因図を作成する。(3)各要因の単独および前後の要因を加えた条件を実験室および現場の試験結果より決定。(4)基礎知識の確認およびヨーロッパにおける副資材メーカーによる製革情報の調査。(5)外国における鞣製工場の見学等を行った後、小牛皮を使用したクロム甲革の作業標準を
作成した。検討開始より10余年の歳月を要したが、小牛皮専門メーカーの仲間入りを果たすことが可能となった。
本資料では、小牛皮によるクロム甲革製造に関する開発記録をとりまとめた。

2、諸検査およびデータの収録   【省略】

3、特性要因図の作成および要因の検討   【省略】

4、海外への製革技術に関する研修   【省略】

5、小牛皮によるクロム甲革の製造工程標準表の作成  【省略】

6.ま と め

近年、日本における小牛皮によりクロム甲革を製造する工場が、転業や廃業により多く消滅し、非常に数が少なくなり、特にLight Calfのグレージンク仕上げが無くなる恐れも生じて来た。イタリアの皮革商が感心する日本のLight Calfのグレージンク仕上げ、このような特殊な製品にこそ日本の皮革産業の生き残る路(みち)となるのではないだろうか。特に、この生産は大規模な工場では不可能で、小回り
のきく小規模なよく精錬された工場のみが可能と考えられる。
「この総説は、療養中の柏田中病院での執筆であり、記憶もれもあるかと思いますが、おゆるし下さい。なお、クロム甲革の仕上げについては『皮革工業新聞』連載記事のクロム甲革の品質管理の実例(昭和52年より連載100回)に詳細に書いているので参考にされたい、」
(文責・岡村 浩)

(『皮革新聞』 平成29年1月10日 新年特集号)

●岡村浩先生は、昭和女子大学で、食物学科学科長、理系学科の要職を勤め、副学長になられた。御健康の問題がなければ、学長になられた方である。
●私は、平成15年6月14日の、「岡村 浩先生ご退職祝賀会」にも参加させて頂き、何と、お祝いのスピーチまでさせてもらったのである。文系の名も無い私が、このような場に出ることが出来たのも、現職の間、毎朝、大学近くの喫茶店で、岡村先生と同席させて頂き、理系の研究姿勢に関して多くの事をお教え頂いた関係からである。
●オーロラホールで行われた、岡村先生の最終講義は感動てきであった。そのような先生から、今、2点の御論文を頂き、身の引き締まるような思いである。先生は、このところ、御健康がすぐれず、入退院を繰り返しながら、この論文をまとめられたのである。

投稿者:

fukaaki

近世文学、特に、仮名草子、近世日記文学を研究している。 昭和女子大学に勤務していたが、定年退職。現在、同大学名誉教授。 仮名草子は、特に、如儡子・斎藤親盛を研究。日記文学では、井関隆子の研究をしている。

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