芦川智先生の研究

●芦川先生は、1945年のお生まれである。私より10年後の出生。私は、昭和女子大学に在職中、芦川先生の御研究に興味をもった。学内の雑誌に発表される先生の論文を拝読し、そのテーマと研究方法に惹かれたのである。そうして、先生の研究室に遊びに行かせてもらうようになった。

●芦川先生は、世界の都市広場の調査・研究をされていて、毎年、夏休みになると、海外調査に出かけられた。この調査は、44年も前から始められたという。私が、『可笑記大成』や『浮世物語』を出した頃であり、円ドルの為替レートが、固定制で、360円から308円に変わり、やがて、変動制に移行した頃である。
●これまで、調査に行かれた国は、86カ国、都市広場の調査は、1059箇所になるという。しかも、外国での移動はレンタカーであり、その総走行距離は71354キロになるという。夏休みが終って、先生の研究室に伺い、調査結果の膨大な写真を拝見していた。気の遠くなるような量の写真、伺うと、1回に500本のフィルムを使うという。この本数がどれ程のものであるか、中学生の頃から、カメラ狂だった私には理解できた。とてつもない量である。
●日本の庭園の研究をしていた、重森三鈴氏の『実測図日本の庭園』という本を見たことがある。日本庭園の、実態を計測して、1本1本の樹木を紙面に定着していた。私は、この時も大変、感動したが、それと同じ感動を、芦川先生の研究から受けた。
●〔實事求是〕 文学研究の世界にも、このような方法がある。私の目指すものである。悉皆調査、しかる後に、その事実の背後にある真実は解明される。芦川先生の労作に、感激する所以である。

■「實事求是」 冨樫省艸 刻

投稿者:

fukaaki

近世文学、特に、仮名草子、近世日記文学を研究している。 昭和女子大学に勤務していたが、定年退職。現在、同大学名誉教授。 仮名草子は、特に、如儡子・斎藤親盛を研究。日記文学では、井関隆子の研究をしている。