南部新一児童図書の思い出

●南部新一児童図書は、結果的には、大阪国際児童文学館に寄贈されたが、その前には、友人の伊藤元雄氏から相談されて、私は、昭和女子大学図書館に寄贈してもらおうと考えたのである。

以下に掲げるのは、現役時代の記録である。
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■南部新一児童図書
●大阪国際児童文学館には「南部新一記念文庫」が所蔵されている。図書約9000部、雑誌約5000冊、その他約1000点、と同館の目録は記載している。南部新一氏は明治27年京都に生まれ、児童文学に興味をもち、博文館で児童雑誌等の編集を担当、自らも創作を続けた。昭和61年他界され、生涯をかけて収集した児童文学関係の蔵書は膨大なものであった。
●昭和63年1月5日、友人の伊藤さんから電話をもらった。伊藤さんは児童文学に関連する出版や様々のイベントを手がけて、世界を飛び回っていた。伊藤さんは、長年、南部氏と交流があり、南部氏没後、その残された蔵書の処置を一任されているという。南部氏の奥さんは、既に他界され、親戚関係の方々はおられるが相続に関して、権利等全く主張していない、との事であった。
●私は、翌々日、伊藤さんにお会いして、事実関係を確認した。現物は品川の一軒家に保管されていて、書籍・雑誌等、およそ2万点、他に、吉川英治等近代作家の書簡などがかなりある。寄贈の条件は、所蔵者・南部新一氏の児童文学研究を顕彰する意味で、このコレクションを南部新一文庫等の名をつけて、一括永久保存すること。また、極力早い時期に、この文庫の全目録を作成して出版する、というものであった。
●帰宅後、文学部長の原田先生に報告、原田先生は学長の人見先生に御説明、学長も、この受け入れを承諾して下さった。人見先生は、場合によっては、コレクションの鈴の部屋を空けて下さるとも仰ったと、原田先生から伺った。
●私は、伊藤さんとも相談しながら、内々計画を立てた。予算を1000万ほど計上し、伊藤さんに週2日ほど来学してもらい、大学院生を募集して目録作成をする。新年の大学が始まった時、原田先生には詳細に文書で報告して、御承諾を頂いて、その後の進展を待った。
●数ヶ月後だと記憶するが、伊藤氏から連絡があり、関係者と検討を重ねた結果、本学が最有力候補であったが、相続人の希望は、南部氏の出身の関西の地に保管して欲しいということであり、最終的には大阪国際児童文学館に依頼する事になった、との事であった。結果的には、本学には入らなかったが、資料は収まる所に収まったと、これはこれで、よかったと思っている。
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南部新一文庫のゆくえ
●ネットにこんな情報が出ていた。私の友人の伊藤さんも参加している。
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国際児童文学館 寄贈者・関係者等と知事との意見交換会 発言要約
■と き:平成21年1月21日(水)午後5時20分~6時30分
■ところ:府庁本館3階 特別会議室(大)
■出席者:橋下知事、綛山教育長、鉄野地域教育振興課長、中道課長補佐(司会)
上の和明 府議会議員(意見交換会仲介者)
小峰紀雄(社団法人日本書籍出版協会理事長:通年図書寄贈者)
鳥越 信(児童文学者:設立時図書寄贈者)
伊藤元雄(故・南部新一代理人:大規模寄贈者)
古橋理絵(塩崎おとぎ紙芝居博物館代表者:大規模寄贈者)
畠山兆子(大阪国際児童文学館を育てる会常任委員長)
田丸信堯(大阪国際児童文学館を育てる会常任副委員長)
松居 直(財団法人大阪国際児童文学館理事長)(知事)
まず、私の基本的な考え方を述べさせていただきまして、皆様方から忌憚のない意見をいただきたいと思っております。今日は皆様方からご意見を伺うということですので、何も決定するつもりはありません。
今の児童文学館、機能・人・組織、これが大問題であります。この組織に任せていては、貴重な文学館の図書が死財産になってしまう。府民感覚で言いますと、駐車場が1,200円、誰も1,200円出して停めない、それが私の感覚です。
【中略】
(鳥越)
もう25年前です。知事、教育長、財団の理事長や館長も替わっています。原点をご存知の方がもういらっしゃらなくなりました。
私 が全国に公募という形でお願いして、大阪に決まったわけです。大阪としてはどこに作るかということで、候補地が3か所あった。泉北ニュータウン、大阪市内 の外大跡地、そして現在のところです。万博公園は、当時はモノレールもありませんでしたし、もっと陸の孤島でした。もし来館者を考えるんでしたら、誰が考 えても外大跡地が一番いいことは分かっている。それなのに、なぜ一番辺鄙なところへもってきたかということです。
【中略】
(南部・伊藤)
南部コレクションは、日本でも世界中でもない貴重なものです。南部新一というのが生きていた頃に、児童文学館ができる前に寄贈したんです。南部新一は、明治・大正・昭和とずっと資料を集めてきて、児童文学館の理事長であった司馬さんとかいろんな人から話があり、1万5千点くらいの資料を、自分も研究で行くことを楽しみにして府に寄付しました。
児 童文学館を活かして、生前の南部新一が楽しみにしていたものが活用されるのであればいいという形でやったわけですから、遺族の方たちに連絡したら、基本的 に現地存続です。なにしろ、いい活用をしてくれ、できないんであれば府の責任において返却してくれと。違うことは止めて欲しいんです。
具体的に活用方法と、いい方向にもっていけるかということを今後とも続けてほしい。そして、寄贈者に情報を流していただきたい。そこで判断しますんで。
(知事)
活 用の方法を見ていただいて、まずいと思われれば返却はさせていただきますんで、やっぱり活用方法が一番重要だと思います。研究だったら、今の行政では公金 投入できませんので、やるなら大学。府民に見てもらう、利用してもらうことが大切。活用方法で府のやり方を納得していただけるかどうかを見ていただきた い。
【以下略】
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●こんな遣り取りがあったことを、今日、知った。また、〔しんぶん赤旗〕は、次の如く報じている。
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2009年2月26日(木)「しんぶん赤旗」

大阪府立児童文学館 移転なら資料返還を

寄贈の鳥越氏ら 知事に要望書

大阪府の橋下徹知事が府立国際児童文学館(吹田市)の廃止・府立中央図書館(東大阪市)への移転を強行しようとしている問題で、同館に資料を寄贈している児童文学研究者の鳥越信さんら三氏が二十五日、寄贈資料の返還を求める知事あての要望書を提出し、記者会見しました。
要望書は、知事が「寄贈者の思いに反するならば本をお返しする」と発言していることをうけて提出したもので、鳥越さん、伊藤元雄さん(南部新一児童図書記念文庫設立発起人代表)、古橋理絵さん(紙芝居などを収集する塩崎コレクション代理)の三氏の連名。
十五万点以上を寄贈している鳥越さんは会見で、児童文学館と図書館の違いとして専門員が資料を読み込み、世界中からのリクエストに正確にこたえ、情報発信ができるかどうかだと強調。「私が寄贈したのは図書館ではない。信義にもとる。広く閲覧に供するだけが目的の図書館では文化遺産としての貴重な資料が死んでしまう」とし、「単に戻せというのではない。予算は凍結し、資料が生かされる道を原点にもどって考えようと言いたい」と述べました。
同館は江戸時代末期から今日までの約七十万点の児童文学・文化資料が収集・保存・研究、活用され、世界的に高く評価されています。うち、寄贈は約五十万点にのぼります。
昨年九月府議会で全会一致で現地存続の請願が採択されましたが、知事は開会中の府議会に廃止条例案と移転費用五億八千万円を計上しています。

|日本共産党ホーム|「しんぶん赤旗」
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●私は、昭和女子大学図書館には、桜山文庫、翠園文庫などの移管に関与した。これに、南部新一関係資料が寄贈されれば、全体では、2~3万点になったと思う。それにしても、伊藤さんはお元気だろうか、その後、連絡していない。

■南部新一書簡リスト ネットより

投稿者:

fukaaki

近世文学、特に、仮名草子、近世日記文学を研究している。 昭和女子大学に勤務していたが、定年退職。現在、同大学名誉教授。 仮名草子は、特に、如儡子・斎藤親盛を研究。日記文学では、井関隆子の研究をしている。