中 一弥 画伯 旧蔵『可笑記』

中 一弥 画伯 旧蔵 『可笑記』絵入本

●今日の朝日新聞・夕刊に、逢坂剛氏の『奔流恐るるにたらず』が紹介されていた。江戸後期の北方探検家、近藤重蔵を描いたシリーズ『重蔵始末』の完結編で、近藤重蔵の生涯を、17年かけて描いた小説だという。それならば、明治2年に、近藤重蔵の『八丈実記』に寄せた、鹿島則文の序文にも、どこかで触れられているだろう。そのクダリを読みたいものである。
●逢坂剛氏は、中一弥画伯のお子さんだと、今日、知った。実は、私は、桃源社の編集部に勤務していた頃、中一弥先生に何度もお会いしている。山手樹一郎先生の挿絵の関係である。仕事は、挿絵の原稿を頂く、単なるお使いであったが、中先生は、とても、探究心の旺盛な方で、私が仮名草子を研究していたこともあり、江戸時代の版本のことも時々話題になった。先生は、『可笑記』の万治2年の絵入本を所蔵しておられ、閲覧させてもらった。もちろん、勤務中ゆえ、詳細な書誌は取れなかった。しかし、後年、慶應義塾大学附属図書館所蔵本を調査して、この本が、中先生の旧蔵本であることを確認した。
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● 慶応義塾大学附属図書館蔵 225/46/5(昭和43年5月20日調査)
体裁 半紙本、五巻五冊、袋綴じ。
表紙 縹色表紙、縦二一九ミリ×横一六五ミリ。(巻一)。
題簽 左肩に後補書題簽、「可笑記 巻一 (~五)」、縦一七〇ミリ×横二九ミリ(巻一)。
匡郭 四周単辺。縦一七六ミリ×横一二四ミリ(巻一、1丁オ)。
蔵書印等 「北田紫水蔵図書記」陽刻縦長方形朱印。「北田文庫」陰刻双辺縦長円形朱印。「木下氏正路蔵書之印」
   陽刻縦長方形朱印。「源氏宣印」陽刻方形朱印。「紀州/河内浜/●重与」陽刻円形黒印。「慶応義塾図書館
   蔵」陽刻縦長方形朱印。巻一後見返しに「宣清」と墨書。その他朱印二。
その他  巻四の16丁は書写である。版本との異同は、句点1箇所、振り仮名1箇所の脱落があり、その他、巻四
   の17段、18段を示す「〇」と、丁付の上にある「〇」を共に省いている。しかし、書写は非常に忠実にな
   されており、絵入本を敷写ししたものと推測される。また、紙の保存状態から見て、この書写は、かなり古い
   ものと思われる。
本書は、中一弥画伯の旧蔵本である事を確認し得た。
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●昭和43年5月20日、再調査した時の、慶應義塾大学附属図書館の、『可笑記』絵入本は、このような状態であった。おそらく、1回目の調査と2回目の調査の間で、中一弥画伯の確認を頂いたものと思われる。調査ノートをチェックすれば、わかる。
●このように、古典籍の所在は、特に個人所蔵の所在は、時間と共に変わるので、調査年月日は明記すべきである。

投稿者:

fukaaki

近世文学、特に、仮名草子、近世日記文学を研究している。 昭和女子大学に勤務していたが、定年退職。現在、同大学名誉教授。 仮名草子は、特に、如儡子・斎藤親盛を研究。日記文学では、井関隆子の研究をしている。