【自著を語る】新・13 2018年2月14日

【自著を語る】 新・13  2018年2月14日

【61】『浅井了意全集』仮名草子編 1 
浅井了意全集刊行会 編 平成19年(2007年)8月 岩田書院発行
A5判 498頁、15000円+税
本巻責任編集:岡雅彦
翻刻・解題担当:小川武彦・湯浅佳子・深沢秋男
目 次
刊行のことば ………………………………………………………   1
凡  例 ……………………………………………………………   2
収録書目細目 ………………………………………………………   7
堪忍記 ……………………………………………………………  15
孝行物語 ………………………………………………………… 189
浮世物語 ………………………………………………………… 319
浮世ばなし ……………………………………………………… 405
解  題 ………………………………………………………… 485
刊行にあたって
 浅井了意は、真宗の寺浪人として苦難精進して、博覧強記の唱導家ともなった僧侶・作家である。その苦節時代に、彼は、時代が今何を求めているかを肌で感じ取った作家でもある。即ち彼は、草創期の徳川政権が時代や知識人に何を求め、一方で庶民が何を欲しているか、つまり近世前期の文化状況の中で何が求められているかを、鋭敏に感得してそれを作品に形象した作家なのである。ここで幕政に参与した林羅山以下の知識人たちの啓蒙活動について述べる余裕はないが、了意は民間にありながら時代の要請を感知して、これの庶民レベルでの啓蒙・普及を試み、次には当代庶民が要求している物に応える内容に転換して、精力的に量産していった。
 了意は数々の文芸作品を著したが、その素材が多く中国・朝鮮伝来の教訓的また伝奇的な書籍に依拠していることは周知の事実で、彼はまた数多くの仏教経典の通俗解説書を著し、そこでも内外の仏典・漢籍からおびただしい比喩・逸話などを紹介している。だが、その詳細はほとんど未開拓で、近世前期の文芸作品や思想書を考究するに際しての「宝の山」と推断されるのである。
時あたかも研究の学際化が叫ばれ、国文学の世界でも視野の拡大が望まれている。浅井了意という作家は、庶民レベルで国境の壁を突き抜けた最初の人であった。ここにその人の全集を公刊する運びとなったことをいささか誇り、その成果を世に披露する次第である。
 平成19年5月     浅井了意全集刊行会編
『浅井了意全集』全巻の構成
〔仮名草子編〕 翻刻 全11巻 A5判
第1巻 堪忍記/孝行物語/浮世物語/浮世ばなし 
第2巻 三綱行実図/大倭二十四孝         
第3巻 可笑記評判
第4巻 因果物語/戒殺放生物語/鬼利至端破却論伝/天草四郎/法華利益物
    語
第5巻 狗張子/伽婢子/ようきひ物語
第6巻 本朝女鑑/賞花吟/新語園
第7巻 江戸名所記/京雀/出来斎京土産/東海道名所記
第8巻 かなめ石/むさしあぶみ/かづらき物語/三井寺物語/狂歌咄/安
    倍晴明物語他
第9巻 将軍記/本朝武家根元
第10巻 北条九代記/鎌倉九代記
第11巻 伊勢物語抒海/源氏雲隠抄/勧信念仏集/父母恩重経和談抄
〔仏書編〕  影印 全7冊 B5判
第1巻 勧信義談鈔/善悪因果経直解/阿弥陀経鼓吹
第2巻 無量寿経鼓吹
第3巻 観無量寿経鼓吹
第4巻 盂蘭盆経疏新記直講/大原談義句解
第5巻 聖徳太子伝暦備考
第6巻 往生拾因直談/仏説十王経直談
第7巻 法林樵談/三国因縁浄土勧化往生伝/願々鈔註解/法語鼓吹/愚迷発
    心集直談他

【62】旗本夫人が見た江戸のたそがれ 井関隆子のエスプリ日記 著
2007年11月20日・文藝春秋 発行
文春新書・606、232頁、定価730円+税
目 次
はじめに  9
第一章 旗本夫人の批評眼――心の風景と幕末の記録  13
  一 鹿島則文と桜山文庫
    蔵書家の数奇な生涯 三万冊の珍籍奇冊
  二 血縁なき家族との暮らし
    隆子の離婚と再婚 恵まれた家計
  三 活き活きとした主婦の記録
    多岐にわたる筆先 旺盛な批判精神 情報が集まる環境
    書かねばならぬ日記へ
第二章 江都有情――武士と町人の生活  30
  一 井関家の四季
    九段坂下の屋敷 鹿屋園の庵主 豪華な元旦の拝領物 
    愛酒家の月見 花見の趣向 絶好の酒肴 四谷の実家の復興
  二 江戸の風俗・風聞
    将軍上覧の天下祭 改革下の神田祭 両国の川開き 
    盛大なる佃島の花火 浅草の「眼力太夫」 平将門の首を拝む
    永代寺の陰間
  三 江戸の事件簿
    イ 旗本心中事件
      思わぬ人違い 一線を越える 心中決行の暁
    ロ 品川心中事件
      冤罪・騙り・恨み 江戸詰め侍の女遊び 女の裏切り
      幽霊登場 落語の原話か
    ハ 余聞・風聞
      上総のふたなり 長安寺の好色僧

第三章 天保の改革――衰退する統治力  94
  一 迷走する改革
    書かずにおれない三方所替 出羽の駕籠訴 出羽の山伏 三方所替の
    中止 家斉没日の謎 家斉側近の罷免 大奥も粛清 三佞人の評判 
    寄合に降格された人々 天保の改革、発令さる 二宮尊徳の印旛沼工
    事 氏栄の左遷 燃える土 工事が中止に 上知令に不満続出 将軍
    の真意 忠邦への反発 利で行えば恨み多し 
  二 日光東照宮への長い道のり
    将軍、最後の参詣 葬式用具を持参 演習の見物衆 将軍家慶、出発
    す 社参の意義
  三 水野忠邦批判
    賄賂を求める人物 八王子村のいざこざ 隆子の小説のモデル 罷免
    に世間は歓呼 忠邦の返り咲き
   
第四章 江戸城大奥――エリート官僚は見た!  146
  一 中奥と大奥をつなぐ御広敷
    大奥トップ事務官・井関親経 御用人拝命 名代で京に出張 莫大な
    出張手当て 大名並みの旅立ち うるわしの上方土産
  二 将軍家斉の素顔
    植物愛好家 九段坂上の火除け地 権勢ふるう中野碩翁 同性愛の殿
    様たち 大奥に粛清の嵐 家斉の没日は? 幕府の公式記録 奥医師
    の大失態 家斉の葬儀 あやしい徳川正史
  三 将軍家慶の心持ち
    猿楽愛好家 家慶夫人の没日 日蓮宗批判 養女を歓待
  四 家定夫人の謎
    正夫人の実父 光格天皇の崩御 有姫の縁組 有姫の実父は誰か
五 江戸城、炎上す
  早朝の出火 大慌ての大奥 早い火の廻り 黄金白銀も焼失 出火元
  と死体の始末 家定の見舞い品

終 章 井関隆子という自我――近代の眼差し  206
  一 確かな歴史意識と人間認識
二 天保期の批評者
三 豊かな学識と知性
四 旺盛な好奇心と執筆意欲
五 旗本夫人の気位と気品
  六 敬愛された母・祖母
  あとがき  222
  井関隆子関連略年表  224
  参考文献  230                                     
………………………………………………………………
はじめに
 歴史は新しい事実の発見によって修正を迫られる。そういう意味では、歴史は常に書き改められる運命にあるといっていいかも知れない。
私たちは、歴史上のさまざまの人物に出会ってきた。それと同時に全く知られていかった人物と出会うということも時としてある。
一つの資料の発見によって、今まで知られていなかった人物が歴史の上に登場することさえ有り得る。
 幕末期、江戸城に近い、九段坂下に一人の旗本女性がいた。井関隆子という。彼女は大変な読書家であり、絵も描き歌も詠み創作もしていた。しかし、何よりも彼女の存在を後世に伝えることになったのは、五年間にわたる膨大な日記であった。
この日記には、ちょうど天保の改革が行われた、天保十一年(1840)一月一日から十五年(1844)十月十一日までの江戸の様子が、生き生きと伝えられている。しかも、彼女の息子が御広敷御用人(大奥との連絡、事務処理などを行う役職で、その責任者)で、十一代将軍徳川家斉の正室・広大院(松の殿)の掛を長年勤めたという関係で、江戸城大奥の様子が詳細に伝えられることとなったのである。
この一人の女性の日記は、鋭い批評意識に貫かれ、しかも正確な情報に裏付けられており、この天保期の歴史に修正を迫るものを少なからずもっている。
(以下省略
●私は、恩師・重友毅先生の教えを守って、啓蒙的な本は書いてこなかった。『井関隆子日記』の現代語訳を出さないか、とある新聞社から打診されたこともあったが、これもお断りした。
●この日記も、勉誠社から出して、だいぶ年月も経ち、今は絶版となり、古書店でも高くなった。そこで、ある出版社の文庫に入れてくれないか、と依頼したことがある。先方で、丁寧に検討した後、全冊では無理であるが、1冊のダイジェストなら出す、という返事だった。それは、私の仕事ではない、とお断りした。
●昭和女子大学を定年退職した頃、文春新書の1冊として、井関隆子日記を紹介するものを書かないか、と編集者・安田清人氏から依頼された。もう現職ではないし、引き受けてもよいか、それに、井関隆子をもっと、世間に知って欲しい、そう考えて、原稿執筆を引き受けた。
●編集担当者は、安田清人氏と、和賀正樹氏だった。しかし、原稿執筆は、難行苦行の連続だった。何回も何回も書き直した。それでも、安田氏も、和賀氏もOKは出さない。ほかの仕事で多忙ということもあって、一時中断した。編集者からの催促も無かった。この間、友人に相談したり、作家の長谷川卓氏のアドバイスを頂いたりした。少し、時間にゆとりが出たので、また、気を取り直して、書き直しを始めた。
●読みたい人だけに読んでもらえばよい、そんな態度で、それまで、論文や研究書を書いてきたが、多くの人に読んでもらえるような文章を書くのは、実に難しい。安田氏や、和賀氏のアドバイスに助けられて、やっと脱稿した。
●文春新書は、5冊同時発売、どうしたことか、私の本が売れ行きが良くて、増刷を続け、6刷まで進んだ。平成20年元旦の、文藝春秋社の謹賀新年の社告に、拙著も入っていた。書評・新刊紹介もたくさん出た。また、ネット上では、好意的な意見もあったが、実に厳しいご意見もたくさんあった。
●地味な研究生活を送ってきた私にとって、この新書は、夢のような本であった。

【63】『斎藤親盛(如儡子)伝記資料』
深沢 秋男 著
平成22年10月25日、近世初期文芸研究会発行
B5判・102頁 非売品
 目 次

一、はじめに ………………………………………………………  2                      
二、子孫の記録――『世臣伝』・『相生集』の記述―― ……  3
 イ、『世臣伝』の記述
 ロ、『相生集』の記述
三、斎藤親盛(如儡子)出生の地・酒田 ……………………… 10
イ、初代・斎藤光盛
ロ、二代・斎藤広盛                  
一、斎藤筑後守関係文書(年貢皆済状・棟札等)
斎藤筑後関係地域一覧
二、斎藤筑後守と酒田筑後町(記録・地図)
   1、明暦二年・酒田絵図
   2、元禄九年・酒田惣御町絵図
   3、亀崎惣絵図(元禄十年頃)
   4、元禄以後絵図
   5、近代酒田市街図等
 ハ、三代・斎藤親盛(如儡子)            
   1、はじめに
   2、酒田時代――最上家親に近侍――
     『徳川実紀』の記録
     最上家と斎藤家の関連年表
   3、酒田を離れて以後の親盛
四、斎藤家の菩提寺・松岡寺とその墓所 …………………… 62                
 イ、神龍山松岡寺
 ロ、斎藤家の墓所(第一次改葬、第二次改葬、現在の墓所)
五、斎藤家の過去帳・位牌 ……………………………………… 71                                                   
イ、松岡寺過去帳 
1、松岡寺過去帳・① 第二世・湛宗祖海編
   2、松岡寺過去帳・② 第四世・震宗水編
   3、松岡寺過去帳・③ 満願寺第十六世・大隈正光氏編
 ロ、松岡寺位牌
 ハ、斎藤家位牌
 ニ、斎藤家、過去帳・位牌の記録
六、斎藤親盛(如儡子)関係略年譜 …………………………… 84            
七、斎藤親盛(如儡子)の著作 ………………………………… 93
 あとがき ……………………………………………………… 101
  ◎斎藤親盛(如儡子)関係者生没一覧  (巻末) 
  ◎斎藤親盛(如儡子)関係系図     (巻末) 
●この自費出版の小冊子について、〔パブ高尾太郎氏〕は次のようなコメントを書き込んでおられた。
その他
「深沢秋男氏の『斎藤親盛(如儡子)伝記資料』は、すごい資料集だ。過去帳や位牌を丁寧に調査した結果の詳細な年譜、著作資料が付く。如儡子研究はこの一冊で大いに進展するんだけど、個人があたかも趣味のように作り、無償で配られている。研究って本来はこんなものなんじゃないだろうか。 7:23 – 2010年10月3日」
有難い言葉である。
●実は、平成23年10月、斎藤親盛の出身地、酒田市の上日枝神社の境内に、「齋藤筑後守記念碑」を建立することになり、その記念式典に参列される方々に、斎藤光盛、広盛、親盛、秋盛等、斎藤筑後守広盛一族の事を知って頂くために、この資料集を作成した。

【64】 『浅井了意全集』仮名草子編 3
浅井了意全集刊行会 編 平成23年(2011年)5月 岩田書院発行
A5判 476頁、18800円+税
本巻責任編集:花田富二夫・土屋順子
翻刻・解題担当:深沢秋男
目 次
凡  例 ……………………………………………………………   2
収録書目細目 ………………………………………………………   7
可笑記評判 …………………………………………………………  15
解  題 …………………………………………………………… 469
●この本文の原稿は、全て私が作成した。作成の途中で、パソコンのデータが消失するというアクシデントがあり、ひどい目にあった。『可笑記評判』の本文校訂は、仮名草子研究の最初と最終段階で行うことになった。そんな思い出のある本である。

【65】 仮名草子集成 第47巻 共編
A5判、256頁、2011年6月30日、東京堂出版発行、定価18000円+税。花田富二夫氏・伊藤慎吾氏・入口敦志氏・安原真琴氏・和田恭幸氏と共編。
目 次
 例言 凡例
仮名草子集成 第四十七巻
醍醐随筆 上 下 解題
大仏物語 上 下 解題
沢庵和尚鎌倉記 上 下 解題
糺物語 巻之上 巻之中 巻之下 解題
たにのむもれ木  解題
写真

投稿者:

fukaaki

近世文学、特に、仮名草子、近世日記文学を研究している。 昭和女子大学に勤務していたが、定年退職。現在、同大学名誉教授。 仮名草子は、特に、如儡子・斎藤親盛を研究。日記文学では、井関隆子の研究をしている。