何よりも嬉しい〔勲章〕

何よりも嬉しい〔勲章〕
2018.05.13 Sunday

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「ところで、深沢氏の言葉で一番印象的だったのは、お会いする前のものだった。深沢氏は、
――先生のことを悪く書くようなら、お話しするわけにはいきません。
 と、いったのだ。
 横山への悪評がいかに根強かったか、それと同時に、身近にいた人にとって横山がいかに魅力的だったか、一瞬に伝わる。
 横山の人物に、また文章に魅せられた人は何人もいる。『書物捜索』中「雀のやど」の回を読み、落涙し、
――志賀が最も好きな文章だ、志賀に見せたい、本にしたいから雑文を送れ。
 といってよこし、そのひと月ほど後に逝ってしまった柳宗悦などもそうだ。志賀とは無論、志賀直哉である。
深沢氏もまた横山を知り、愛した、幸せな一人だ。」
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 北村薫氏は『小萩のかんざし いとま申して 3』(2018年4月5日、文藝春秋) の中で、このように書いて下さった。
私は、工学部建築科に進まず、文学部日本文学科に進み、近世文学を専攻し、横山重先生にめぐり合い、御指導を賜り、先生の生き方に、1歩でも、半歩でも近付きたいと、文学研究を続けてきて、本当によかったと思う。
北村薫氏の、この文章は、私にとって、何よりも、嬉しい人生の〔勲章〕だと感謝申し上げる。
北村薫氏の、この度の『小萩のかんざし いとま申して 3』は、横山重先生の最初の伝記であり、優れた横山先生の伝記だと思う。ウィキペディアの「横山重」の項の参考文献として追加した。

投稿者:

fukaaki

近世文学、特に、仮名草子、近世日記文学を研究している。 昭和女子大学に勤務していたが、定年退職。現在、同大学名誉教授。 仮名草子は、特に、如儡子・斎藤親盛を研究。日記文学では、井関隆子の研究をしている。