ドナルド・キーンの世界

ドナルド・キーンの世界
2019.03.30 Saturday

●今日の、朝日新聞〔読書〕欄に、松浦寿輝氏の「ドナルド・キーンの世界」が掲載された。その中で、松浦氏は、次の如く述べておられる。
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さる二月二十四日に逝去したドナルド・キーン氏は、九十六年にわたるその長い生涯において、研究・翻訳・教育のそれぞれの領域において大きな仕事を為(な)し遂げた。わたし自身はキーン氏を何よりもまず、優れた感性によって文学を味読し、流麗な名文を綴(つづ)った「文人」として記憶したいという気持ちが強い。・・・・
(中略)・・・・

成熟期の情熱

 成熟期に至ったキ-ン氏が、かつての小著のなかで一筆書きのようにスケッチされた主題を、精細な叙述によって展開し尽くした偉業が(浩瀚きわまる『日本文学史』 (中公文庫・全18巻)だ。しかしここでは、それと双璧をなす大著『百代の過客 日記にみる日本人』をとりあげてみたい。
 キーン氏は古今の無名の人々の日記まで手に入るかぎり読み尽くし、平安時代から現代まで、日本人の「私」が日々の思いや行動をどのように書き留めてきたか、その長大な歴史を逐一辿り直そうと試みた。日本人の心の世界を日記という文章形式のなかに探って、その興趣と意義を平明な文章で懇切に語ってみせた。吉田健一は先に触れた本のなかで、キーン氏の文章の「アマチュア」 (原義はプロに対する「素人」ではなく「愛好家」 「愛する人」)としての特質を顕彰しているが、この大
著においてもまた、キーン氏はこちたき議論や分析からは身を遠ざけ、静かな愛と情熱の籠もった筆遣いで、日本人の精神の深層を描き出している。
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●私も、松浦氏と同じように、ドナルド・キーン氏を受け止めている。キーン氏は、『井関隆子日記』を、朝日新聞に紹介する時、丹念に本文を読み、所々に、感想を書き込んでいる。それらを見ると「優れた感性によって文学を味読」した様子が窺える。
●この、書き込みを、調査して、報告することを、私は、生前のキーン氏から許可されている。

投稿者:

fukaaki

近世文学、特に、仮名草子、近世日記文学を研究している。 昭和女子大学に勤務していたが、定年退職。現在、同大学名誉教授。 仮名草子は、特に、如儡子・斎藤親盛を研究。日記文学では、井関隆子の研究をしている。