『井関隆子日記』の古書価

『井関隆子日記』の古書価

2019.05.25 Saturday

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『井関隆子日記』の古書価

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『井関隆子日記』が読みたい   【江戸・東京ときどきロンドン より】

2011年 05月 04日

先日の地震九段段会館が一部崩落し 大変でしたね
見るからに古い建物だったので もう少し保存と使用方法に気をつけていればよかったのに・・・
と 残念に思います
さて今日は 江戸時代 この九段会館の真向かいに住んでいた
旗本の話にしましょう
切絵図〇のところ 井関次郎衛門と書いてあります
この家に 文化11年(1814) 同じ旗本の庄田家から 後妻に来た
隆子さんは 天保11年(1840)56才の時から60才で亡くなる5年間 丹念に日記を書き綴っています
この日記がおもしろいのは 明治2,30年代になってから 多く出版された「旧事諮問録」系の 古老に

聞く 旧幕時代の思い出と違って 江戸の天保前後の事象を 「今」の目線で書きとめていることです
そして 書き留めたのが女性であり
この日記を 出版どころか 人に見せることを想定して
書いてはいないのが 大きな特徴です
その分 自由に 当時のありのままを書き 自分の感想も
のびのびと記しているのですね
その上 この方は 絵もうまい! →
ある日見た 住職に戯れかかる陰間(男色相手)を絵に描いたもので 「卑しくて 片腹痛し」なんて 痛烈な批判も書いています
彼女の嫁いだ井関家は 代々将軍家の近くに仕える家柄で
大奥の御広敷(役所)や 小納戸などを勤め 主に11~13代の家斉・家慶・家定の時代のことが 多く書かれています
驚くのは こういう勤めの人の家族は とにかく城内の消息に詳しい!ってこと
そりゃあ 毎日おそばに仕えているんだから 当たり前かもしれませんが
当時は極秘であったことなども 隆子さんは平気で日記に書いてしまいます
大御所・家斉の死についても 公表は1月末だったものを すでに10日の日記で
「7日に亡くなられた」と書いているのです
「後の処置が大変なので 世間には秘して 普段どおり 家慶さまも(大御所が在世のように)
西の丸に通われているが 大方は世間にも漏れ ひっそりとして 物音を立てるものもない」
これは 近侍する旗本の家族でなければ わからないことですね
この他にも 当時の行事・慣習のことが詳しく書かれていて
両国よりも華やかだったという佃島の花火のこと
寒の入りの日の挨拶回りのことなど 私はこの本で初めて読みました
そして この隆子さんは 天保の改革や 水野忠邦の罷免なんて
政治向きのことも 家族から聞き込んでは すぐに日記で批判
実に 闊達で 元気な女性なんです
残念なのは これが一冊しかない日記で 過去に一回 本になりましたが
当時でも 4千5百円×3冊という結構なお値段の豪華本だったこと
部数も少なかったのでしょう 現在 古本サイトでは一冊 7万円前後です
3冊買えば 21万円ですからねー・・・・
近くの図書館には 置いてないし ほんとに残念です
私は 深沢秋男氏の書いた新書版や 研究書を読んだだけです
本は 秘蔵したり 飾ったりするものではなく 広ーく大勢の人に読んでもらうため
にあるのだよ・・・というコンセプトの元
なんとか廉価版で復刻を・・・!と願っていますよ
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●今日、〔日本の古本屋〕をチェックしたら、4点出ていた。8年前に、私の文春新書が影響したのか、勉誠社版『井関隆子日記』の古書価は非常に高かった。3冊21万円では、なかなか買えない。現在では、3冊セットで、20000~25000円というところか。発売時の定価は、各4500円だった。妥当だと思う。

●私などは、自著の、古書店での価格が、定価より安いと、非常に淋しい。儲けを目的に出しているのではないので、古書店には、評価してもらいたいと願うのである。
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■井関隆子日記 中巻
加能屋書店 ¥10,000
深沢秋男 校注、勉誠社、昭55、1冊
函、ビニカバ付

■井関隆子日記 全3巻揃
金山閣書院 ¥24,000
深沢秋男校注、勉誠社、昭53-56、3冊
函:ヤケ・並、ビニカバ、本・良

■井関隆子日記 上・中・下 全3冊揃
西秋書店 ¥25,000
深沢秋男・校注、勉誠社、昭和53年、3冊
函入 /「天保日記」(井関隆子自筆本 全12冊 天保11-15年) 翻刻・注/解説/鹿島則文と桜山文庫/索引

■井関隆子日記
黒崎書店 ¥19,000
深沢秋男校注、勉誠社、昭56、3冊
上中下3冊揃セット 函(シミ・汚れ・少破れ)付 全体ヤケ 表紙少シミ・少ヨレ 地に大学名印・日付印有り 見返し・始頁シミ
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投稿者:

fukaaki

近世文学、特に、仮名草子、近世日記文学を研究している。 昭和女子大学に勤務していたが、定年退職。現在、同大学名誉教授。 仮名草子は、特に、如儡子・斎藤親盛を研究。日記文学では、井関隆子の研究をしている。