大啓蒙期の注釈

大啓蒙期の注釈

  • 2019.07.07 Sunday

大啓蒙期の注釈

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時寛永巳之仲冬下幹江城之旅泊身
雪朝庵士峯ノ禿筆作  如儡子居士

①つれづれとは、徒然とかきて、つくづくとながめおり、物さびしき躰也。
②ひくらしとは、終日の心。あさより晩までの事也。曰くらしのくもじ、すみてよむべし。にごれば、むしのひぐらしの事になる也。
③おしまづきとは、つくゑの事也。
④ぼくとぅとは、筆の事。
⑤手中は、てのうち也。
⑥おろか心は、愚知の心也。
⑦みじかき筆とは、悪筆などいふ心。ひげのことば也。
⑧せいゑいといふとり、草木のえだ葉などをもつて、大海をうめんとするなり。たれたれもしり給へる古事なれば、かきつくるにおよばず。
⑨二神とは、住吉・北野・玉津嶋を申也。わかの三じん是也。
⑩みとがめとは、御たゝりなどいふ心也。
⑪しうじんとは、世間の人といふ心。あまたの人々をさしてぃふ也。
⑫ほゝえむとは、につこりと笑ひがほをする事也。
⑬ひな人とは、いなか人と云事。
⑭せめとは、さいそくなどいふ心也。
⑮じするとは、詞にてしんしやくすること。
⑯しりぞくとは、身をひき、しんしやくするてい也。
⑰にぶきやえばとは、物のきれぬかなもの也。
⑱ちよれきとは、いかにもまがりゆがみて、物のようにたゝぬざいもく也。

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●ここに掲げたのは、『砕玉抄』(百人一首の注釈書)の奥書に加えた注である。自分の文章に注を付す。いわゆる自注である。如儡子は、和歌の珠玉の集、「百人一首」に詳細な注釈を加えているが、その執筆姿勢は、極めて平易である。読者対象は、知識人ではなく、一般庶民である。しかも、内容的には、島津忠夫氏も評価するほどである。

●『如儡子百人一首注釈の研究』(2012年、和泉書院発行)参照。

投稿者:

fukaaki

近世文学、特に、仮名草子、近世日記文学を研究している。 昭和女子大学に勤務していたが、定年退職。現在、同大学名誉教授。 仮名草子は、特に、如儡子・斎藤親盛を研究。日記文学では、井関隆子の研究をしている。