考証随筆と『井関隆子日記』

考証随筆と『井関隆子日記』

  • 2019.10.29 Tuesday
考証随筆と『井関隆子日記』

●私は、長い研究生活を振り返ると、研究テーマに行き詰まり、日々を空無に過ごした時もあった。私は、近世初期の文芸の研究を目指してきたが、江戸文芸、江戸文化に関して、やや手薄だった。江戸の雑学に関して、不足していたのである。

●この空無の時間に、江戸後期の、考証随筆を、一渡り読んだ。来る日も、来る日も、これらの考証随筆を読んだ。『瓦礫雑考』・『還魂紙料』・『嬉遊笑覧』・『近世女風俗考』・『骨董集』・『書檜贅筆』・『用捨箱』・『擁書漫筆』・『柳亭記』・『柳亭筆記』・『歴世女装考』などなど、その一例に過ぎないが、これらを毎日読んだ。

●これらの考証随筆は、知識的な点では有効ではあったが、読み物としては、面白くない。そのような時代に書かれた『井関隆子日記』も時として、事物起源的な興味に惹かれて言及することはある。しかし、彼女は、深入りはしない。文学作品としての配慮がなされているのである。

投稿者:

fukaaki

近世文学、特に、仮名草子、近世日記文学を研究している。 昭和女子大学に勤務していたが、定年退職。現在、同大学名誉教授。 仮名草子は、特に、如儡子・斎藤親盛を研究。日記文学では、井関隆子の研究をしている。