コロナ禍のお盆帰省

コロナ禍のお盆帰省

  • 2020.08.11 Tuesday
コロナ禍のお盆帰省

●毎年、毎年、お盆の時期になると、日本全国、都心から地方への大移動が始まる。今年は、コロナで、事情は一変。地方出身者は、大変な選択を強いられている。

●かつて、私も同じように、郷里、身延町伊沼へ帰省していた。子供が小さい頃は、富士川で一緒に泳いだこともあった。

●ただ、『可笑記』の諸本調査をしている頃は、全国の図書館へ行く、時間とお金の工面が大変だった。

●昭和43年(1968)8月11日、秋田県立図書館の絵入本を調査した。10日21時30分発、第2津軽、上野発かと思ったら、駅員に品川発だと教えられた。急遽、品川駅へ行くと、列車はホームの無い所に止まっていた。当然指定席など買えないので、自由席。どの乗降口も人、人ですし詰め状態。乗り込む余地はない。うろうろしていたら、「ほら、乗りな」と親切な人が引っ張り上げて、乗せてくれた。

●列車が発車すると、まず、全員の荷物を一か所に積み上げた。女子供は、その荷物の上などに座ってもらい、男は立ったまま。その内に、身の上話が始まる。金の卵で東京に出て、働いている。上手くいって、会社を立ち上げ、社長になった成功者もいれば、厳しい条件で苦労している人もいた。私の出身は、甲斐の身延だけれど、山形や新潟や福島ばかり、めぐり歩いている。そんな私を、皆さん、あたたかく仲間にいれてくれた。

●とにかく、1人1人の人生話が、魅力的だった。長時間、立ちっ放しで、話していた。誰かが、自分の荷物から、ミカンや飲み物を取り出し、頭の上を回してくれる。それを食べながら、また話す。やがて、途中で下車する人も出てくる。その人は、果物や飲み物を窓から、投げ入れてくれた。

●私は、雪深い酒田で育った、斎藤親盛の事を思い、東北の雪深い地方の人々の、あたたかい心にふれて、こんなに、素晴らしい旅は無いと感謝した。

●11日(月)、秋田県立図書館の絵入本を調査して、秋田発、22時発、千秋3号で東京へ帰った。

投稿者:

fukaaki

近世文学、特に、仮名草子、近世日記文学を研究している。 昭和女子大学に勤務していたが、定年退職。現在、同大学名誉教授。 仮名草子は、特に、如儡子・斎藤親盛を研究。日記文学では、井関隆子の研究をしている。