道草を喰いました

道草を喰いました

2019.06.08 Saturday


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●お互いに、ずいぶん道草を喰いましたね。貴君は天保の民に心をささげ、小生は海外調査にうきみをやつし、やっとまた無一物で出発点に立ちもどったわけです。無一物ではあるが、物をみる視野と経験は豊かになったと思います。
再出発を記念して、師宣か何かをもとに、近世初期文化全体を展望する記念集を共同でまとめましょう。師宣と仮名草子についての資料、今、整理しています。研究には、どんどん活用して下さい。
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●初期俳諧を御指導頂いた、島本昌一先生からの手紙である。先生は、長期間にわたる、大英博物館等の海外の調査が終わり、帰国された時のものである。私は『井関隆子日記』が完結した数年後、昭和60年(1985)のお手紙である。島本先生は、菱川師宣関係の、膨大な資料を持ち帰られた。

●この資料をベースにして『師宣全集』の刊行を計画した。知り合いのK出版社のO氏に相談したところ、出しましょうという事で、原本調査を開始した。これは、大変な作業だった。結果的には、企画倒れになってしまったが、勉強にはなった。

●今日、古い資料を整理していて、懐かしい、島本先生のお手紙に接した。先生の学恩に対して、涙が出そうになった。

●島本先生と、近世初期文芸研究会を創設し、『近世初期文芸』を創刊した。近世初期の文化・文芸に、篤い思いを抱く2人だった。『近世初期文芸』は、今年、第36号を出す予定である。どのようなスタイルになるか・・・。

●島本昌一先生は、平成29年、86歳で、御逝去なされた。私も、その年齢に近付いてきた。

研究の軌跡に感謝

研究の軌跡に感謝
2019.03.30 Saturday

●このところ、『近世初期文芸』の整理をしている。この雑誌は、昭和44年(1969)に創刊した。法政大学で、貞門俳諧を講じておられた、島本昌一先生と私で検討し、先ず、〔連歌俳諧研究会〕を改名して、〔近世初期文芸研究会〕を設立した。メンバーは、島本先生を中心にして、先生のゼミの参加者、15名ほどと私であった。島本先生が初期俳諧、私が仮名草子、という柱でスタートした。
●この研究会の創設の1年後に、『近世初期文芸』を創刊した。第1号から、第35号まで、50年間を要した。今日、改めて調べてみたら、データは、次の通りである。

全35号の、総頁数=4462頁。論文数=188点。新刊紹介など=97点。

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あ と が き

室町末期から江戸初期にかけての時代の変化は、まことに興味深いものがある。
そして、この時代の文芸もまた、日本文学史の研究を志す者にとっては、多くの示唆をあたえるものである。
しかし、その研究が十分進んでいるとは思われない。
一つの理由は、資料の分散と未整理である。さらに重要な事は、この期の作品が、既成の研究方法ではとらえる事のできない多様性をもっているということである。そして、持続的な研究者もまたすくない。孤立した研究は、この時代の文芸を十分に解明し得ないと思われる。
この研究会は、近世初期に関心をもたれる人々の援助をも得て、資料の調査・整理、およびそれを使っての研究を継続的に進めてゆきたいと思っている。
         一九六九・十  近世初期文芸研究会
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●この「あとがき」は、御茶ノ水駅前の喫茶店で、島本先生と私で書いた。第1号を発行して、諸方面へ寄贈したが、反応は様々であった。特にショックだったのは、ある大家から、「近世初期」とは、小さすぎる、とお叱りを受けたことである。私は、その方を無視して、以後、一切寄贈しなかった。50年経った今、どうだろうか。188点の論文は、近世初期の文芸の何かを解明したのであろうか。やがて、歴史が明らかにするだろう。
●研究者は、1年かけて、一つの論文を書き上げる。私の経験では、10年続けて、やっと、先が見えてくる、そのように思う。この雑誌に掲載された、188点の論文は、そう軽くはないと思う。研究者、一人一人が、調査を重ね、考察した、その結果のものである。
●この『近世初期文芸』は、国会図書館をはじめ、30余の主要大学図書館に所蔵して頂いている。ここに掲載された論文は、永遠に後世へ伝えられ、後世の研究者によって、批判され、修正されて、活用されるだろう。
多くの方々の御援助、御協力によって、50年間の研究が継続できた。改めて、心からの感謝を捧げたい。

平成31年(2019)3月30日
深沢秋男
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●『雑誌かたろぐ』には、次の如く出ている。
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■近世初期文芸 キンセイショキブンゲイ
  
 掲載分野 0580 文学・文芸総合

◎1969.12.00創刊、◎年刊、◎雑誌、◎日本語、◎B5、◎平均90頁、◎最大246頁、◎非売品、◎会員配布、◎実売日12月20日、◎発売元 359-1104 埼玉県所沢市榎町3-20 近世初期文芸研究会 04-2924-7293、◎発行500部、編集責任者・深沢秋男、◎読者構成=大学図書館・近世文学研究者、◎内容=近世初期文芸研究会の学術研究誌。近世初期(元和・寛永~元禄)の仮名草子・俳諧・和歌などの文芸作品の翻刻および研究論文を収載、◎広告無し、◎HP=「近世初期文芸研究会」http://www.ksskbg.com/
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■『近世初期文芸』第1号、第35号
(写真)

20年前の『近世初期文芸』

20年前の『近世初期文芸』
2019.03.24 Sunday

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第15号 平成10年12月10日発行 242頁、非売品

○終生弓箭、斎藤徳元終ゆ …………………………… 安藤 武彦
○『古老軍物語』の改題本 …………………………… 菊池 真一
  ――『古今軍鑑』解題と翻刻――
○家族物語としての「山椒太夫」(一) …………… 塩谷千恵子
  ――説経正本間の推移――
○整版本『竹斎』の研究(その六) ………………… 田中  宏
○貞徳伝書『歌書伝授秘訣』・『誹諧 三鳥秘伝』
  ――翻字・解題―― …………………………… 島本 昌一
○如儡子の「百人一首」注釈 ……………………… 深沢 秋男
   ――『百人一首鈔』と『酔玉集』――
○連歌寄合書『竹馬集』語彙索引 ………………… 深沢 眞二
〇飯田龍一氏の江戸図研究―飯田氏追悼― ……… 深沢 秋男
 〈新刊紹介〉
  加藤定彦著『俳諧の近世史』 ………………… 島本 昌一
  市古夏生著『近世初期文学と出版文化』 …… 深沢 秋男
研究会WEBページ開設のお知らせ ……………… 菊池 眞一

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●今、過去の研究状況を整理していて、私たちの雑誌『近世初期文芸』第15号に出会った。実に感慨深い。〔近世初期文芸研究会〕のWEBページを開設したのも、20年前である。菊池眞一先生の御配慮によるものである。以後、現在までお世話になっている。
●この雑誌は、近世初期の文芸に照明を与えようと、島本昌一先生と私で創刊した。昭和44年(1969)で、50年前のことである。
●多くの研究者や、印刷関係者などの皆様の御配慮を頂いて、ここまで歩んで来た。改めて感謝し、御礼を申し上げたい。

『近世初期文芸』の古書価

『近世初期文芸』の古書価
2019.01.11 Friday

●渥美書房『国語国文学 文献目録』106号(2019年1月)が送られてきた。私たちの出している雑誌『近世初期文芸』も掲載されていた。
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◎近世初期文芸 1~20 20冊 近世初期文芸研究会 昭和44 21600円 (1冊、1080円)
◎近世文芸資料と考証 1~10 表紙少痛 10冊 七人社 昭和37 19980円 (1冊、1998円)
◎近世文芸 1~52 合併合含 50冊 日本近世文学会 昭和29 49890円 (1冊、998円)
◎近世文芸 研究と評論 1~60 内17・28欠 58冊 早稲田無大学文学部 昭和46 39960円 (1冊、689円)
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●『近世初期文芸』は、昨年末、第35号が発行された。近世文学の中で、近世初期を対象として、昭和44年(1969)に創刊された。島本昌一先生と私と、2人で近世初期の文芸の解明を目指して出した学術雑誌である。島本先生は昨年御他界なされた。今後、どのような展開となるか、楽しみでもあり、心配でもある。

『近世初期文芸』第35号 発行

『近世初期文芸』 第35号 発行
2018.12.20 Thursday

目  次
 
〇『露殿物語』中巻の方法         小原 亨
 ――隠晦する主人公像――
〇国会本『絵本北条五代記』の挿絵     位田絵美
 ――本文と挿絵から見える成立過程―― 
〇『竹斎』再論(その四)          田中 宏
〇如儡子の祖父、斎藤家初代光盛の出自   深沢秋男
〇新出写本『可笑記』紹介         深沢秋男
〇仮名草子の書誌的研究          深沢秋男
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●内容は、以上の通りであるが、小原亨氏、位田絵美氏、田中宏氏の力作論文を掲載することができた。私は、『可笑記』の祖父、斎藤光盛の出身地に関して、推測ではあるが、新説を提出することが出来た。思えば、大学の卒論以来の疑問に答えるものであり、感慨深い。多くの方々の御配慮に感謝申し上げる。

『近世初期文芸』所蔵状況 2018年4月29日現在

『近世初期文芸』所蔵状況 2018年4月29日現在
2018.04.29 Sunday

0
『近世初期文芸』 所蔵状況 2018年4月29日現在

●今日、私達の出してきた雑誌、『近世初期文芸』の、主要大学の所蔵状況を調べてみた。大学では、49大学が所蔵してくれている。ただし、全号所蔵は 〔1-34+〕 このように表示されている。これまでも、欠号と連絡があって、寄贈した大学はあったけれど、連絡がなければ、欠号が続くことになる。現在は、私の手許にもバックナンバーが無いので、あとは、国会図書館等で補うことになる。
●昭和44年(1969)12月の創刊。50年前のことである。この雑誌は、島本昌一先生と、〔近世初期〕に光を当てたくて、創刊した。以来、50年、私の研究と共に歩んで来た雑誌である。貴重な論稿を寄稿して下さった方々、各号が出る度に、励ましのお言葉を寄せて下さった方々、印刷・発行等に協力して下さった方々、改めて、心から感謝を申し上げ、御礼を申し上げる。
平成30年(2018)4月30日   深沢秋男
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• 愛知県立大学 長久手キャンパス図書館1969-2003P910.5-570
1-3,7-20
• 愛知大学 豊橋図書館図1988-2003910.5:90
4-20
• 秋田工業高等専門学校 図書館図1991-1991
8
• 大阪府立中之島図書館1969-2005継続中
1-2,4-22+
• 大手前大学・大手前短期大学 図書館夙川1969-1988
1-4
• お茶の水女子大学 附属図書館日文1969-1999継続中
1-2,4-16+
• 活水女子大学 図書館1969-1988
1-5
• 金沢大学 附属図書館中央図雑誌1994-1994
11
• 学習院大学 図書館日文1969-2013継続中050/331
1-30+
• 九州大学 附属図書館文1969-2001
1-3,18
• 京都大学 附属図書館BNC1969-2017継続中BNC||キ||231
1-34+
• 京都大学 文学研究科 図書館図1969-2016雑誌||き||353
1-33
• 共立女子大学 八王子図書館図1969-1971
1-2
• 慶應義塾大学 三田メディアセンター1969-1973
1-3
• 公益財団法人 日本近代文学館1969-1973
1-15
• 甲南女子大学 図書館1969-2007
1-2,4-24
• 国学院大学 図書館1969-2004継続中
1-21+
• 国際日本文化研究センター1969-2003
1-3,5-20
• 駒澤大学 図書館1969-1973055:378
1-3
• 昭和女子大学 図書館図1969-2017継続中
1-34+
• 聖心女子大学 図書館1969-2004
1-14,16-21
• 清泉女子大学 附属図書館1969-2011継続中
1-2,4-17,20-28+
• 園田学園女子大学 図書館1989-2008
6-20,22-24
• 中央大学 中央図書館図1988-2017継続中Z91/K16:52
4-34+
• 中京大学 図書館1971-2011P901.01/Ks
2-28
• 筑波大学 附属図書館 中央図書館1969-2016F-キ70300
1-33
• 鶴見大学 図書館1989-2011継続中
6-24,28+
• 天理大学 附属天理図書館本館1969-2017継続中910.5||サ489
1-34+
• 東京学芸大学 附属図書館図雑1989-2017継続中
6-7,22-34+
• 東京国立博物館1988-1988905-51
4
• 東京女子大学 図書館1969-2017継続中
1-34+
• 東京大学 史料編纂所 図書室図書1969-2016継続中
1-2,4-28,31-33+
• 東京大学 総合図書館1969-2016継続中ZE:433
1-33+
• 東京大学 大学院人文社会系研究科・文学部 図書室国文1969-2007
1-24
• 東北大学 附属図書館本館1988-2016継続中
4-33+
• 名古屋大学 附属図書館中央雑1969-1973
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• 日本大学 文理学部図書館B1988-2016継続中910.5||Ki46
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• 人間文化研究機構 国文学研究資料館全冊開架1969-2017継続中キ00640
1-34+
• ノートルダム清心女子大学 附属図書館1969-2017継続中
1-34+
• 広島大学 図書館 中央図書館図・書庫雑誌1969-1971
1-2
• 福島県立図書館1988-1988
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• 法政大学 図書館市図1969-2017継続中A7c||383
1-34+
• 北海道大学 附属図書館図1988-2017継続中
4-34+
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2,4-28
• 宮城県図書館2016-2016P910/キ
33
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1-33+
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『近世初期文芸』の古書価

2018.01.10 Wednesday

『近世初期文芸』の古書価

●渥美書房 国語 国文学 文献目録 №105(2018年1月) が、届いた。

◎6796 近世初期文芸 〔1〕~〔20〕 20冊 近世初期文芸研究会 昭和44年 21600円
◎6797 近世文芸資料と考証 〔1〕~〔10〕 表紙少痛 10冊 七人社 昭和37年 19980円
◎6798 近世文芸 〔1〕~〔52〕 合併号含 50冊 日本近世文学会 昭和29年 49890円
◎6799 近世文芸 研究と評論 1~60内17・28欠 58冊 早稲田大学文学部 昭和46年 39960円

●近世文学関係では、この4点の雑誌が掲載されていた。私たちが『近世初期文芸』を創刊する時、『近世文芸資料と考証』がすでにあり、充実した内容の雑誌だと思っていた。早稲田大学の『近世文芸研究と評論』は、『近世初期文芸』より後の創刊であったが、会員数が多く、たちまち号数を重ねた。「――と評論」という点が、私の関心を惹いた。
●いずれにしても、3人でスタートした、同人誌のような学術雑誌『近世初期文芸』がここまで続き、古書店の目録に搭載されるようになって、それなりの古書価がついたのだから、私は満足している。

『近世初期文芸』第34号 発行

『近世初期文芸』第34号 発行

●本日、稲栄社印刷から『近世初期文芸』第34号が、届いた。一渡り点検して、問題は無いようなので、印刷所の本社と工場に電話して、御礼を申し上げた。現在の社長さんは、法政二高の卒業生で、島本昌一先生の教え子である。そのような関係で、本当によい仕事をして下さる。

●第34号の内容は、次の通りである。
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『近世初期文芸』第34号  目次

○『露殿物語』上巻にみる形象性          小原  亨
   ―― 揺れ動く主人公像 ――
〇服部版『天草物語』系統の挿絵の変遷 
―― 萬屋版『嶋原記』と岩瀬版『嶋原記』をめぐって ――
                         位田 絵美
〇『竹斎』再論(その三)              田中  宏
〇井関隆子校注『しのびね』(静嘉堂文庫蔵)考    深沢 秋男
〇如儡子『百八町記』の考察            深沢 秋男
〇仮名草子関係新刊書・目次紹介          深沢 秋男
 ①『仮名草子集成』第五十七巻
 ②湯浅佳子著『近世小説の研究――啓蒙的文芸の展開――』
 ③『仮名草子集成』第五十八巻
〇<新刊紹介>
 湯浅佳子著『近世小説の研究――啓蒙的文の展開――』 深沢 秋男
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇島本昌一先生追悼                深沢 秋男
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●この号、小原 亨氏、位田絵美氏、田中 宏氏、三氏の力作論文を掲載することができた。いずれも、仮名草子研究を進めたものとして、感謝している。
●私は、如儡子・斎藤親盛の最晩年の著作『百八町記』の考察をまとめた。如儡子は、この著作を、自分の妻や子のために書いたというが、こんな難解な本を妻や息子が読んだのだろうか。おそらく、出来上がった5冊の本を手には取っただろうが、熟読はしなかったものと推測される。
●井関隆子は、『井関隆子日記』の他に、創作も何点かあり、古典の書写も何点かしていたが、擬古物語『しのびね』の校訂・校注もしていた。そのことを、今年の1月に知った。和泉書院に正月の明けぬうちに電話して、本を送ってもらって実態が判明した。隆子は、えらい才女であった。
●雑誌編集の進行中に、島本昌一先生の御他界を知らされた。島本先生と創刊したのが、この『近世初期文芸』である。48年前のことになる。

  改めて、先生の御学恩に感謝申し上げ、御冥福をお祈り申し上げます

●私は、昭和女子大学を定年になって12年になる。この年になっても、このような雑誌が届くと、子供のように嬉しい。
●なお、この雑誌は、発行が済めば、発行所に在庫は無いので、必要な方は、図書館で複写して頂きたい。主要図書館には寄贈してある。

『近世初期文芸』 第34号 責了

●『近世初期文芸』第34号が、責了になった。内容は以下の通り。

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『近世初期文芸』第34号  目次

○『露殿物語』上巻にみる形象性         小原  亨
   ―― 揺れ動く主人公像 ――

〇服部版『天草物語』系統の挿絵の変遷      位田 絵美
  ―― 萬屋版『嶋原記』と岩瀬版『嶋原記』をめぐって ――

〇『竹斎』再論(その三)             田中  宏

〇井関隆子校注『しのびね』(静嘉堂文庫蔵)考   深沢 秋男

〇如儡子『百八町記』の考察           深沢 秋男

〇仮名草子関係新刊書・目次紹介         深沢 秋男
 ①『仮名草子集成』第五十七巻
 ②湯浅佳子著『近世小説の研究
  ――啓蒙的文芸の展開――』
 ③『仮名草子集成』第五十八巻

〇<新刊紹介>
 湯浅佳子著『近世小説の研究         深沢 秋男
        ――啓蒙的文の展開――』

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇島本昌一先生追悼              深沢 秋男

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●雑誌編集の進行中に、島本昌一先生の御他界を知らされた。
 
  つつしんで 心からお悔やみ申し上げます

●私は、法政大学を卒業の次の年度に、島本昌一先生に出会った。先生が法政で、初期俳諧のゼミを開講しておられ、その授業を聴講させて頂いたのがきっかけだった。仮名草子研究には、初期俳諧の研究が不可欠と考えてのことであった。
●以後、今日まで、先生の御指導を賜った。学術雑誌『近世初期文芸』も、先生と私が創刊した。島本先生は初期俳諧、私は仮名草子、ということで、思う存分、原稿を発表するために創刊したのである。今、思い返せば、この雑誌は、創刊から終刊まで、私が関わることになる気配である。
●島本先生に御指導頂いたおかげで、安藤武彦、森川昭、深沢眞二、石川真弘、などの先生方にも、お教えを頂くことができた。また、島本先生が法政大学で教えておられた関係で、法政の雑誌に原稿を書かせて頂いくことも出来た。心から、感謝申し上げる。

『近世初期文芸』と『近世文学研究』

『近世初期文芸』と『近世文学研究』

●『近世初期文芸』は、昭和44年(1969)島本昌一氏と私で創刊した。平成16年(2004)、私が昭和女子大学を定年退職するので、編集実務を菊池眞一氏に引き継いだ。この時、島本氏は、新しい研究の境地に進みたいと、別の雑誌を創刊する準備に入った。そうして、5年後の、平成21年に、文学史探究の会を創設されて、『近世文学研究』を創刊された。
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■『近世初期文芸』第20号(平成15年12月25日発行)

近世社会の誕生と下河辺長流…………………………………村上明子
前句付「そろはぬ物ぞよりあひにける」の作者考…………安藤武彦
――徳川秀忠か、『塵塚俳諧集』 下巻所収句――
長岡元甫の伝記に関する新知見………………………………八木淳夫
如儡子の「百人一首」注釈……………………………………深沢秋男
――武蔵野美術大学美術資料図書館所蔵『砕玉抄』(序説)――
『花の縁物語』の改変…………………………………………冨田成美
――その方法と傾向(ニ)――
『はなむけ草』翻刻……………………………………………菊池真一
宮本武蔵『五輪書』について(その三)………………………田中 宏
――『風姿花伝』『兵法家伝書』との比較――
『女みだれかみけうくん物語』考 補遺……………………小川武彦
貞徳と『伊勢物語秘訣』(五)完………………………………島本昌一
<新刊紹介>
今栄蔵著『初期俳諧から芭蕉時代へ』………………………島本昌一
野田千平著『近世東海俳壇新攷』……………………………島本昌一
<仮名草子関係書・目次紹介>
朝倉治彦編『仮名草子集成』第三十三巻・第三十四巻……深沢秋男
花田富二夫著『仮名草子研究―説話とその周辺―』………深沢秋男
ラウラ・モレッティ著『竹斎(イタリア語訳)』…………深沢秋男

■『近世初期文芸』第21号(平成16年12月25日発行)

甲南女子大学図書館所蔵 写本『可笑記』について………………深沢秋男
『堪忍記』についての疑義―その構成と内容のこと―……………柳 牧也
『ひやう』翻刻と解題……………………………………ラウラ・モレッティ
『千代の友つる』翻刻……………………………………………菊池真一
宮本武蔵『五輪書』について(その四)………………………………田中 宏
石川丈山「わたらじな」和歌攷…………………………………小川武彦
『仮名草子研究文献目録』をめぐって…………………………菊池真一
『近世初期文芸』総目次(第1号~第21号)………………………編集部
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■『近世文学研究』創刊 平成21年(2009)7月

■2009/07/17 (金) 00:56:30 『近世文学研究』 創刊を祝す

●『近世文学研究』という雑誌が創刊された。かつて、近世初期文芸研究会で、近世初期俳諧や仮名草子を私と一緒に研究していた、島本昌一氏を中心にして立ち上げた「文学史探究の会」が発行母体である。『近世初期文芸』よりも一回り小さいA5判の雑誌であるが、私よりも年長の島本氏が、新しい雑誌を出された事に、心からの敬意と、祝福を捧げたい。

「創刊のことば 文学史探究の会
いずれの時代でも同じであろうが、研究は進めば進むほど、細分化される。この過程は引き返す事はできないであろう。しかし、そのためか同じ分野の研究であると思いながらも、対話が失われてきているように思われてならない。さまざまな分野の研究者が一堂に会し、交流を深める場がほしいと思う。
とりわけ、近世文学はそれ以前の古典と明治以後の近代を繋ぐ問題に充ちた世界である。研究誌を創刊するゆえんである。
といっても、性急に巨視的展望を開くことを意図してはいない。まずはお互に作品の読み方を学び会うことから始めていきたいと思う。そうして出来る事ならば共同の研究や調査を工夫していきたい。
2009 ・ 7・ 11 記」

●この雑誌の創刊の意図は、ここに示されている。日本文芸史における、古代や中世文芸と、明治以降の近代文芸の間にある近世文芸を通して、上下の接続関係を文学史的に解明しようとして発足した研究会のように推測される。大きな構想で敬服する。
●発行所は「獺祭堂」という。何やら正岡子規の号・獺祭書屋と関連しているのであろうか。そういえば、和田克司氏の「藤野古白と正岡子規」という論考が掲載されている。何はともあれ、高齢にもかかわらず、学問的情熱をもって、新しい雑誌を出された島本氏に対し、心からの敬意を表する。さらに、この雑誌が、所謂、3号雑誌に終わる事無く、日本文学史を解明する上で、大きな発言の場となるように、切に念じ申し上げる。
●雑誌は創刊は易く、継続は難い。さらに、創刊の目標を達成することは至難のことである。この雑誌に期待し、発展を望んでやまない。
★創刊号の目次→http://www.ksskbg.com/kanabun/news2.html
【深沢秋男・ブログ】
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その後の2つの雑誌の経過は、次の通り。

▲『近世初期文芸』第21号~第33号 計12号
▲『近世文学研究』第1号~第8号   計 8号

●雑誌を継続的に発行するということは、かなり大変である。何しろ、論文が無ければ出せない。雑誌ゆえ、少なくとも、2人以上の執筆者がなければならない。今度、島本氏の編集発行された、『近世文学研究』新編第1号に接して、感慨深いものがある。
●私の、編集・発行する『近世初期文芸』は、現在、第34号が進行中である。本年末には、発行の予定である。これは、あくまでも予定。それが、出版というものである。